近藤の本棚
感想

恒星間ミッションという壮大な設定に惹かれて手に取りました。80人の女性が人類の存続をかけて旅立つ——その前提だけで既に惹きつけられましたが、爆弾という予想外の事態が加わることで、物語が一気に複雑な様相を呈します。 主人公アスカが犯人探しに当たる過程で、登場人物たちの背景や関係性が丁寧に描かれていく構成が見事です。技術的詳細にも目配りがあり、エンジニアの視点からも説得力を感じました。限定された船内という舞台設定が、緊張感を効果的に高めています。 慎重に本を選ぶ私からすると、このような冒険SF的な要素と人間ドラマが融合した作品は稀です。読み終わった時の充足感も大きく、余韻が長く残りました。SFが好きな方はもちろん、心理サスペンス的な緊張感を求める読者にも強くお勧めできます。文庫サイズで気軽に読める点も含め、非常に良い一冊です。