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感想

加賀恭一郎シリーズの面白さは、謎解きの鮮烈さだけではなく、その背後にある人間観察の深さにあるんだと改めて感じさせられた一冊だ。本作では、一見平凡に見える家族が抱える秘密が、じわじわと浮かび上がってくる。その過程で、登場人物たちの言動がすべて意味を持つようになっていく快感を味わえる。 管理職という立場で日々様々な人間関係を見てきた身からすると、「平凡な家族など、この世に一つもない」というテーマは特に刺さる。表面的には普通に見える同僚たちの背後にも、複雑な事情や葛藤があるんだろうなと思わせられる。本当の真実がどこにあるのか、登場人物たちですら気付いていない部分を加賀がどう引き出していくのか、その過程がたまらなく興味深い。 直木賞受賞後の執筆とは思えないほど、創作のエネルギーが感じられる。気軽に読み始めたつもりが、一気読みしてしまった。このシリーズはやはり傑作である。

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