taroの本棚
感想

文庫本を手にしたとき、「夏」をテーマにした短編集というシンプルな企画が意外とそそられた。管理職という立場で忙しい日常を送っていると、ついつい実用書ばかりに手が伸びてしまうが、たまには気軽に小説の世界に浸りたいというのが最近の心境だ。 現代を代表する七人の作家による書き下ろし作品ということで、どのような物語が詰まっているのか興味深かった。実際に読んでみると、各作家の色彩がはっきりと出ていながらも、共通の「夏」という季節を通じて、驚きあり、切なさあり、美しさありと、バラエティに富んだ作品群が楽しめた。 特に印象的だったのは、一行一行が丁寧に紡がれており、短編だからこそ余分な装飾がなく、物語の核となる面白さが直球で伝わってくるという点だ。人生経験をそれなりに積んだ年代だからこそ、書き手が隠した余韻や深みも感じ取れる。仕事の疲れを感じたときに、ふとページを開いて読み進めるのにも適している。こういう「ちょうどいい」本は、実はなかなか出会えないものである。手元に置いておきたい一冊だ。

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