taroの本棚
感想

本屋大賞受賞作ということで手に取った一冊ですが、期待以上の仕上がりでした。弟の死という重い喪失から始まる物語なのに、どうしてこんなに温かく感じられるのだろうか—読み進めながら何度もそう思いました。 家事代行という地味だけど大切な営みを通じて、人間関係が紡ぎ直されていく。料理を作ること、部屋を整えること、そうした日常的な行為がどれほど相手への愛情表現になるのか。仕事で部下の指導に当たることが多い身としては、その視点がとても響きました。管理職として人を導く立場にいると、つい効率や結果ばかり見てしまう。でもこの作品は、相手の心に寄り添うことの大切さを静かに教えてくれます。 登場人物たちの秘密や葛藤も無理なく組み込まれており、読んでいて引き込まれました。悲しみの中にある希望、喪失の中にある再生—そうした人生のテーマが自然に伝わってきます。50代だからこそ、こうした繊細な感情描写が心にしみ込むのかもしれません。気軽に読める小説としての完成度も高く、一気読みしてしまいました。

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