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かがみの孤城

かがみの孤城

辻村 深月 ポプラ社 2017年5月9日

感想

小学校の高学年ぐらいから中学生にかけての女子のグループは 本当にめんどくさい。 リーダー格の女子がいて周りに取り巻きが できる。 何らかの事情や出来事、ほとんどが大した理由もなく ある日突然、無視されたり、攻撃されたりすることになる。 中学一年生の安西こころも女子グループのリーダー真田さんに 目をつけられたのが原因で周りの女子達の仲間に入れて もらえなくなり陰湿ないじめがはじまり不登校になっていく。 一日中、自室にこもっている毎日。 ある日、部屋の中の姿見が光りだした。 驚いて手を近づけると手のひらが中に吸い込まれ体が 鏡の向こうに引きずりこまれる。 目を開けると、狼のお面をつけた小さな女の子(オオカミさま) が立っていた。 鏡の向こうの世界にはこころ以外にもさまざまな理由で学校に 行けなくなった中学1年~3年生の男女6人がいた。 アキ、マサムネ、フウカ、ウレシノ、リオン、スバル・・・ それぞれの問題を抱えて。 ひとりひとりに個室もあるこの城で3月までになんでも願いが叶うと いう鍵を見つけることをオオカミさまから伝えられた7人。 現実の世界と鏡の向こうの世界を行ったり来たりしながら 7人はそれぞれに成長していく。 ファンタジー的な設定なんだけれど、現実世界での出来事も リアルでどんどん引き込まれていく。 大人でも子供でも言葉の通じない人はいる。 別に誰とでも仲良くなんてしなくていいし、こりゃ無理だと思えば 静かに距離をとればいいのだと思う。 いじめの問題はいじめられている方でなくいじめている方の子のほうが 問題を抱えている場合も多いがそれはその子が解決するべきことで それをいじめられている方に配慮させるほうがおかしいということに もっと大人は(この場合は先生だが)気が付くべきだ。 こころ以外の登場人物たちにもそれぞれに抱えている問題がある。 10代の子供には自分ではどうすることもできない家庭の問題や 学校での友達関係。自分自身の問題。 少しづつ小出しにされていく事情はそれぞれに説得力があって 人物像を個性的に現している。 不登校であることで、どの子も少なからず自分を責め戦っている。 そんな子供たちが距離を縮めながら仲良くなっていく。 そして「僕たち助け合えるよ」ということに気づいていく。 学校はもちろん通えたほうが良いとは思う。 でも何らかの事情で通えなくなったところで”たかが学校”なのだ。 そういう視点も必要なんじゃないかな。 大人になるのにはいろんな道や方法があるはず。 そういう方法をたくさん教えてあげるのも大人の役割の気がする。 まぁ、でもなかなか大人は(自分も含めだけど)普通と言われるレールから 外れた生き方をされるとどうしていいかわからなくなるものだし 自分の子供が不登校になったらきっと悩む。 こころのお母さんの気持ちもとてもよくわかるのだ。 中学生の気持ちになったりその親の気持ちになったりしながら 読んだこの小説。 ファンタジー的な様相とはちがってとてもミステリアスでもあり 最後の伏線の回収の仕方が本当に圧巻だった。 しかもたくさんの伏線がいかにも伏線というのではなく自然に散りばめられて いるので後からあーーー、あれが伏線だったのか!! と思う始末。 全く小難しさがないのも好きだ。 お見事だった。  優しさと希望に胸がいっぱいになって思わず泣いたわ。 7人がいつか再会できますように。

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