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数学者と聖骸布騎士団

数学者と聖骸布騎士団

藤本 ひとみ 講談社 2025年12月17日

感想

数学と冒険、そして人間関係が織り交ぜられた物語として、これは本当に面白かったです。表紙の惹かれる雰囲気から期待していたのですが、期待以上でした。 主人公・和典が抱える葛藤が丁寧に描かれていて、医学部進学か数学研究か、という現実的な悩みから始まるのに、物語が進むにつれて人生で本当に大切なものは何かという深いテーマへと発展していく構成が秀逸です。フランスでの母親捜索という緊迫したミッションの中で、子ども時代の仲間たちが集結するという設定も素敵。懐かしさと現在のドラマが重なって、読んでいて心が揺さぶられました。 公務員の日常は結構退屈なことが多いので、こういう冒険小説は本当にリフレッシュになります。数学の要素も難しすぎず、むしろ和典の人生観に自然と組み込まれているのが良い。ページを重ねるごとに登場人物たちへの感情移入が深まって、最後まで一気読みしてしまいました。72時間という限られた時間設定も緊張感を保たせるために効果的でした。