yomuzoの本棚
感想

雨穴シリーズをこれまで楽しんできた身としては、この最新作は期待値が高かったのだが、その期待を十分に上回る仕上がりだった。 『変な家』『変な絵』で築かれた世界観が、『変な地図』によって一つの完成形に辿り着く感覚がある。祖母の謎めいた死と古地図に秘められた秘密という設定は、単なる怪奇譚ではなく、丁寧に構築されたロジックの上に成り立っており、読み進めるにつれてその巧妙さに唸らされる。主人公・栗原のキャラクターも愛着が持てて、彼の視点から謎を追う緊張感が心地よい。 ただ、フリーランスとして時間的余裕がある立場だからこそ気になるのだが、付録の豪華さは確かに見どころだ。特に雨穴の朗読動画や裏話トークは、本編とセットで楽しむことで作品の深みが増す。計算し尽くされたエンターテインメントという印象だ。 慎重に本を選ぶ自分としては、最初はこの装飾的な特典に少し躊躇していたが、読み終わってみると、それらは単なる付け足しではなく、著者の本作への想いの表れだったのだと感じた。長編エッセイとしても、ミステリーとしても、完成度の高い一冊だ。

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