和也の本棚
きまぐれカプセル

きまぐれカプセル

星 新一 新潮社 2026年8月28日

感想

星新一の生誕100年記念作品集ということで手に取ったが、これは本当に素晴らしい一冊だ。エッセイ集とはいえ、SF作家としての視点から綴られた考察や思い出話は、単なる回想録ではなく、日本の戦後文化史を追体験する興味深さがある。 特に印象的だったのは、幼少期から晩年まで時系列に並べられた構成だ。同じ著者の文章を時間軸に沿って読むことで、その思想や表現がどう変わっていったのかが自然と見えてくる。また、江戸川乱歩や小松左京といった巨匠たちとの親交エピソードは、あの時代のSF文学界の空気感を今に蘇らせてくれる。 何より驚いたのは、ユーモアセンスの素晴らしさだ。堅くなりがちなエッセイなのに、随所に笑えるエピソードが仕込まれている。管理職として日々ストレスを抱える身としては、こうした軽妙な筆致に心がほぐれる思いがした。真鍋博のカバーイラストも含めて、全体の完成度が高い。ビジネス書ばかり読んでいる人こそ、こういう作品に触れるべきだと感じた。

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