本大好きおじさんの本棚
ラザロの迷宮

ラザロの迷宮

神永 学 新潮社 2026年2月28日

感想

休日の午後、軽い気持ちで手に取ったミステリー小説です。湖畔の洋館での謎解きイベントが現実の殺人事件へと転換するプロット自体は興味深く、引き込まれます。医療の現場で人間観察をしてきた身として、登場人物の心理描写や動機の部分にも注目して読みました。 ただ、正直なところ、物語全体としてはやや散漫な印象を受けてしまいました。二つの事件が交差するというコンセプトは悪くないのですが、それぞれがもう一歩深掘りされていたら、さらに没入感が出たのではないかと感じます。催眠術による捜査という医学的なアプローチも面白いテーマなのに、そこもサラリと流されているような気が。 読みにくいわけではなく、ページはめくれるのですが、読み終わった後に「ああ、面白かった」というより「そうなんだ」という淡白な感覚が残ってしまいました。出張の移動時間や、ちょっとした隙間時間に読むにはちょうどいい。でも心を掴まれるほどのめり込むには、何かもう一つ、何かが欲しかったというのが正直な感想です。