はるとの本棚
感想

青春小説の王道を往く一冊だと思いました。中学生の駅伝を通じて、チームワークや個人の成長を描いているという点では、確かに心温まる設定です。読んでいて「ああ、こういう話か」という安心感はありました。 ただ、正直なところ個性に欠けるという印象が拭えません。各キャラクターの背景描写や心理描写は丁寧なのですが、どうしても既視感が残ってしまう。エンジニアという職業柄、「この物語でしか表現できない何か」を求めてしまう癖があるのかもしれませんが、もう少し踏み込んだ人間ドラマがあれば、より深く没入できたと感じます。 文章自体は読みやすく、駅伝という題材を活かした緊張感のシーンもしっかり機能しています。ただし、全体的には「良い子向けの清廉な物語」という枠を超えられていないような気がします。悪くない作品ですが、強く記憶に残るほどの何かがあるかというと、そこは疑問です。成長段階の若い読者には響く作品かもしれませんね。

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