ゆーきの本棚
感想

本屋大賞受賞作ということで、どうしても読んでみたくなった。八十路の身でも話題の作品はチェックしておきたいという気持ちはまだ衰えていない。 開いてみると、食事を通じた人間関係の繋がりを丁寧に描いた物語だった。最愛の人を失った悲しみを抱えた主人公が、家事代行という普通の営みの中で少しずつ癒されていく。その様子が実に自然で、読んでいてほっとさせられた。 特に印象深かったのは、料理をするということの意味が静かに問い直される場面だ。单なる家事ではなく、誰かを思う気持ちの表現として描かれている。人生の後半を生きる者として、こういった人間らしい営みの大切さを改めて感じさせられた。 登場人物たちそれぞれが抱える秘密や悲しみが絡み合い、最後には温かな再生へと至る構成も見事である。若い頃とは異なり、今は人間ドラマの奥深さがより心に響くようになった。これは確かに多くの人に愛される理由がわかる作品だ。

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