ゆーきの本棚
志記(二) 瑠璃と玻璃

志記(二) 瑠璃と玻璃

高田 郁 角川春樹事務所 2026年9月11日

感想

歴史小説のシリーズ第二弾ということで、前作に続いて手にしました。文政五年の江戸を舞台に、医学を志す女性と刀匠を目指す男性が同じ日に生まれながら、全く異なる人生を歩む様が描かれています。 最も心に残ったのは、二人が各々の道で直面する現実の厳しさです。女性であるがゆえの医療界での差別、若き職人の技術的な壁——時代は異なれど、こうした葛藤は今の世にも通じるものがあります。また、疫病という歴史的背景が物語に深みを加えており、当時の人々の恐怖や使命感が生き生きと伝わってきました。 著者の歴史考証の丁寧さと、登場人物たちへの同情的なまなざしが秀逸です。敵対関係にあるわけでもない二人が、ただ異なる道を歩みながら時代の波に揺さぶられていく——その緊張感のある展開が、最後まで目が離せませんでした。退職後、こうした質の高い文学作品に出会えるのは本当に幸せなことだと改めて感じます。シリーズ第三弾も待ち遠しい一冊です。

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