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危険な相続人(上)

危険な相続人(上)

赤川 次郎 KADOKAWA 1991年3月22日

感想

話題になっていたから手に取ったのだが、予想以上に引き込まれた。二十一歳の女社長という設定だけで何か胡散臭さを感じていたんだが、その不安感がそのまま物語の中核になっているというところが実にうまい。 堂之池桐子というキャラクターは確かに魅力的だが、同時に不気味でもある。恋する男を殺したくなるという奇妙な病気という設定は、一見すると奇想天外だが、読み進めるうちに深い心理描写の入口になっている。単なるサスペンス要素ではなく、キャラクターの根本的な危うさが描かれているのが面白い。 対する藤田という中年男の企みと、それに対抗する秘書・伊吹のコンビが予想外に良い。二人の力関係や立場の不安定さが、全体の緊張感を高めている。会社員として仕事の合間に読んでいるが、こういう複雑な人間関係のやり取りは妙にリアリティがあって、つい続きが気になってしまう。 上巻という構成なので、ここからどう展開していくのか見ものだ。話題作というのは伊達ではないなと改めて感じた。

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