一郎の本棚
感想

国盗り物語の最終巻にしてようやく理解できたことが多くありました。 信長と明智光秀という二人の傑出した人物が、同じ斉藤道三に愛されながらも、その本質において相容れない存在だったという視点は、本能寺の変をこれまでと違う角度から考えさせてくれます。激情的で外向的な信長と、繊細で内向的な光秀という対比は、単なる歴史的事実の説明ではなく、人間の本質的な衝突を描いているんですね。 新社会人として職場で様々な人間関係を経験し始めた今だからこそ、この二人の「相容れなさ」がリアルに感じられました。価値観や気質が異なる人間同士が、一つの目標に向かう時の緊張感と危うさが、すごく説得力を持って伝わってきます。 司馬遼太郎の筆力は相変わらず素晴らしく、歴史小説とは思えないほどの現代的な心理描写が、ページを開くたびに引き込まれます。全四巻の大作ですが、最終巻で全てが繋がる充足感は何物にも代え難いものでした。慎重に本を選ぶ私ですが、このシリーズは最後まで読む価値が十分にあります。

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