コンビニ人間

コンビニ人間

村田沙耶香, 村田 沙耶香

出版社:文藝春秋 出版年月日:2016/07/27

文藝春秋 | 2016/07/27

4.50
本棚登録:10人

みんなの感想

芥川賞受賞作という話題性だけで手に取った本でしたが、これが思いのほか心に響きました。 36歳でコンビニ店員として生きる主人公・恵子の日常を描いた作品なのですが、多くの人が「異常」と感じるであろう人生選択を、本人は何の違和感もなく受け入れている。その徹底した世界観が、実は私たち医療従事者にも通じるものがあるんです。 マニュアルに従うことで安心を得る、社会の「正常な部品」でいることで心の平穏を保つ。長年病院で患者さんや同僚と接する中で、私自身もどこか似た心理を抱えていたのかもしれません。 何より素晴らしいのは、著者が恵子を一方的に批判することなく、むしろ彼女の視点から世界を丁寧に描いている点。違いを違いとして受け入れる温かさがあります。短編ながら考えさせられることが多く、読み終わった後も何度も場面が蘇ってきます。 気軽に読める小説として、そして人間関係について考えるきっかけとして、とても良い一冊でした。

芥川賞受賞作ということで読んでみましたが、これは面白い。36歳でコンビニ店員を18年続ける女性の日常を描いた作品なんですが、読んでいて自分の人生と何度も重ねてしまいました。 主人公・恵子さんは一見すると「変わった人」かもしれません。でも読み進めると、彼女がコンビニの中に居場所を見出し、そこで「正常」であることの意味を考えている様子がすごく丁寧に描かれていて、思わず引き込まれます。マニュアルに沿った完璧な対応、変わらない店の空間、毎日同じルーティン——それって本当は多くの人が求めてるんじゃないかな、と思わされました。 38歳の会社員として、社会的な「正解」を歩むことの違和感もありますし、周囲の期待とのズレも分かります。だからこそ、恵子さんの人生選択が後半どう揺らぐのかが気になって、一気に読んでしまいました。 短編のような読みやすさと、社会への問い掛けのバランスが素晴らしい。何度も読み返したくなる一冊です。

話題の芥川賞受賞作ということで手に取ってみました。36歳でコンビニ店員という主人公の人生が、こんなにも深く、そして切実に描かれるとは思いませんでした。 社会的には「変わった人」と見なされる恵子ですが、読み進むうちに彼女の世界観がじわじわと伝わってきます。完璧なマニュアルの中で自分の居場所を見つけた、その静かな幸福感のようなものが。私たち会社員も同じように、社会的な「正常さ」の中で自分を調整しながら生きているのではないか、と思わされました。 白羽というキャラが登場することで、物語は新たな局面へ。個性的で予測不能な展開が続き、一気読みしてしまいました。現代社会の「普通」とは何か、人間関係とは何かを問い直させる、本当に優れた作品だと感じます。 既婚で仕事をしている同年代の友人たちと読んだ感想を共有したら、みんな考えさせられたと言っていました。話題作には理由がある、改めてそう実感させてくれた一冊です。