感想
話題作ということで手に取ってみたのですが、想像以上に深い作品でした。 コンビニという日常の風景を舞台に、主人公の内面世界が丁寧に描かれています。35歳の私としても、社会的な「正常さ」とは何かという問いかけが非常に刺さりました。キャリアや結婚といった人生設計に縛られる中で、自分たちが見落としているものが確実にあるんだと気付かされます。 芥川賞受賞作だけあって、文章の精度も高く、読んでいて独特の世界観に引き込まれます。コンビニという限定的な空間が、実は無限の人間模様を映し出す鏡のような存在なんですね。主人公の視点から見た「正常」と「異常」の定義が、読み進むにつれて揺らいでいく過程は秀逸です。 ただ、結末については賛否があるかもしれません。私自身は納得できましたが、一般的な小説の期待値とは異なる終わり方をするので、その点を理解した上で読むことをお勧めします。現代社会の違和感を感じている方にとっては、きっと胸に響く一冊になると思います。