静かな読書の本棚
新装版 コインロッカー・ベイビーズ

新装版 コインロッカー・ベイビーズ

村上 龍 講談社 2009年7月15日

感想

何度読んでも新しい発見のある本です。コインロッカーで生まれた二人の少年の運命を追うこの物語は、一見するとファンタジックな設定なのに、読み進むにつれて現代社会への痛烈な問い掛けが迫ってくる。登場人物たちの奇想天外な行動や言葉遣いは奔放で、時には理解しがたいほどなのですが、その中に人間らしさや自由への渇望がしっかり根ざしているんですね。 新装版ということで改めて手に取ってみたのですが、50代を過ぎた今だからこそ響く部分がたくさんあります。若い頃読んだ時の印象とは異なり、社会的な窮屈さや人間関係の複雑さを知った今だからこそ、この作品が描く「絶対の解放」への希求が、より切実に感じられるようになったんです。毒薬のようで清々しいという帯の言葉が秀逸。この矛盾を包含した不思議な魅力こそが、この傑作が時代を超えて愛される理由だと思います。 自営業をしていると、時に枠から抜け出したくなることもあります。そんな気分の時に、こういった破壊的で自由奔放な作品と出会えるのは、本当に救いになりますね。

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