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愛蔵版 それいぬ

愛蔵版 それいぬ

嶽本野ばら 国書刊行会 2026年1月27日

感想

90年代の空気感を求めて手に取った一冊。嶽本野ばらのデビュー作ということで期待値も高かったのですが、正直なところ「まあこんなもんか」という印象でした。 本文に散りばめられた言葉たちは確かに美しくて、ときどきハッとさせられる表現もあります。特に「品性」についての考察には、大人になった今だからこそ響くものがありました。ただ全体を通すと、やや自己陶酔的というか、読み手を選びすぎているような気も。当時の若い読者にはきっと大きな影響を与えたんだろうなっていうのは十分わかるんですけど。 何より、エンジニアという仕事をしていると「意味」や「構造」を求めてしまうんです。この物語はそういう読み方を許さない、感覚的な作品なんだと思う。そこが唯一性であり、同時に私にとっては距離感を作ってしまった理由なのかもしれません。 愛蔵版として大切に置いておく価値はあると思いますが、今の私にはちょうどいい「普通」という評価が正直な感想です。

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