直人の本棚
女ひとり 日本をゆっくり飲んでみたよ(1)

女ひとり 日本をゆっくり飲んでみたよ(1)

新久 千映 KADOKAWA 2026年4月15日

感想

最近、こういう肩の力を抜いた企画エッセイが増えているなと思っていたところに、この本が目に入った。40代の漫画家が日本各地を巡って、ただひたすら飲み歩く。そのシンプルさが実に良い。 会社勤めも長年続けていると、旅といえば観光地をチェックリスト化して回るようなパターンに陥りがちだ。ところがこの本の著者は違う。お腹を空かせるために観光するかしないか、あるいは何も決めずに目についた店に飛び込む。そうした気ままさ、無計画さが、読んでいて妙に羨ましく感じられた。 鹿児島から福井、和歌山まで、各地の繁華街を舞台にした人間関係の綾も面白い。友人知人との再会の中に、それぞれの人生の断面が見える。決して深刻にならず、さらりとした筆致で綴られているところが、大人のエッセイとしての品を感じさせる。 正直なところ、自分はこれほど自由には動けない世代だが、こういう生き方もあるのかという新しい視点をもらった気がする。話題の書として、また人生哲学を考えさせる一冊として、じっくり味わいたい。

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