直人の本棚
感想

最近、話題の新刊は必ずチェックするようにしているのだが、この『暁星』は期待以上の傑作だった。 政治家にして文壇の大物作家が刺殺される。その事件の加害者本人が週刊誌に手記を発表する。そして、その事件を題材に別の作家が小説を書く——これだけで興味をそそられる設定だが、著者はこの複雑な構造を見事に使いこなしている。 ノンフィクションとフィクションが交錯する中で、事件の真実、登場人物たちの内面、そして社会的な問題まで層状に浮かび上がってくる。事件の単純な是非を問うのではなく、人間の動機や葛藤、権力と文化の関係性を深く掘り下げる手法は、さすが著者だと思わせる。 装丁も落ち着いていて、職場の休憩時間に読み進めるのに丁度いい。50代の自分だからこそ感じられる、政治家としてのプレッシャーや作家としての責任感といった微妙な心理描写も丁寧で、共感できる部分が多かった。一気読みしてしまいました。

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