直人の本棚
魔女と過ごした七日間

魔女と過ごした七日間

東野 圭吾 KADOKAWA 2026年6月16日

感想

著者の100作目という節目の作品ということで、話題になっていたこの本を手に取った。近年のAI監視社会というテーマも現代的で、どんな仕上がりなのか興味が湧いていたのだ。 読み始めると、元刑事という硬質な設定と、不思議な力を持つ女性との出会いという幻想的な要素がうまく絡み合っていることに引き込まれた。少年が父の死の謎を追う冒険は単純なミステリではなく、警察ドラマとしての緊迫感と、ファンタジックな雰囲気が思わぬバランスで成立している。 何度か物語のターニングポイントで予想を裏切られたのも良かった。正直なところ、中盤は若干の違和感も感じたが、最後の章で全体像が見えてくると、その構成の妙が理解できる。AIに支配される社会と人間の自由意志という根本的なテーマも、重くなりすぎず物語に織り込まれている。 今の時代だからこそ響く問題意識と、娯楽小説としての読みやすさを両立させた傑作だと思う。確かに100作目の貫禄を感じさせる一冊だった。

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