三浦の本棚
感想

本屋大賞受賞作ということで、慎重に評判を確認してから購入したのですが、その判断は正解でした。 弟の死という重い喪失感から始まる物語ですが、決して暗く沈んだものではありません。むしろ、主人公が家事代行サービスを通じて他者とつながり、少しずつ心が温められていく過程が丁寧に描かれています。「料理を作って食べさせることが愛情表現」というテーマが、シンプルながら心に響きます。 登場人物たちの背景にある悲しみや葛藤も自然に浮かび上がり、表面的な感動話に終わらない深さがあります。せつなという存在が持つ秘密も、物語に説得力を与えています。 ただ、中盤から後半にかけて若干進行が緩くなる箇所があり、もう少しテンポが欲しいと感じたのが惜しい点です。それでも、仕事で心身ともに疲れている時期に読むと、「明日もがんばろう」という静かな希望をもらえる一冊。大切に取っておきたい本になりました。

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