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昨夜のカレー、明日のパン

昨夜のカレー、明日のパン

木皿 泉 河出書房新社 2013年4月1日

感想

脚本家が初めて小説に挑戦した作品ということで興味を持って読んでみました。死という重いテーマを扱いながらも、日常のなにげない場面を通じてそれを描き出そうとする試みは理解できます。 ただ、正直なところ、期待していた以上の感動には至りませんでした。確かに「言葉の力」というコンセプトは魅力的ですし、脚本家らしい会話の使い方も光っています。しかし、小説として読むと、どうしても人物描写の深さに物足りなさを感じてしまいます。連作長編という形式も、個々のエピソードが独立しすぎているせいか、全体としての一貫性に欠ける印象を受けました。 悲しさと温かさが共存する世界観は素敵だと思うのですが、もう一段階、読者の心に届く強度がほしかった。人気脚本家だからこそ期待値が高かったのかもしれません。特に人文書や思想書を読み込んでいる分、もっと深い人間理解や哲学的な問いかけがあれば良かったなと感じます。良い本ですが、傑作とまでは言えない、そんな感じです。

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