我が屍を乗り越えよ

我が屍を乗り越えよ

レックス・スタウト / 佐倉潤吾

出版社:早川書房 出版年月日:1987/12/01

早川書房 | 1987/12/01

4.00
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

新書というコンパクトな形式の中に、これほどまでの思想的深さと文学的な美しさを詰め込むことができるのか—そう感嘆させられた一冊だ。 著者の思考の軌跡をたどるうち、私たちが日常で見落としている根本的な問いに引き戻される。自分自身の過去や失敗、そうした「屍」とどう向き合うのかというテーマは、特にフリーランスという選択肢の中で試行錯誤を重ねてきた身として、深く響いた。 描写や比喩表現が秀逸で、重厚になりがちな内容を読みやすく仕上げている点も見事。エッセイと小説の境界を心地よく往来する文体は、読み手に思考の自由度をもたらしてくれる。 ただ一点、後半の議論が若干抽象的に傾く箇所があり、もう少し具体例が欲しいと感じたのが正直なところ。それでもなお、人生の転機に立つ人、あるいは現在地に疑問を感じている人にとって、貴重な羅針盤となるはずだ。評価の高さは十分納得できる作品である。

感想

早川書房の新書ということで、どのような視点から人生を問い直す作品かと期待して手に取りました。 著者の独特な思考の運び方は興味深く、随所に考えさせられる問い掛けがあります。ボランティアの現場でも「どう生きるか」という問題は常に存在していますので、そうした観点からも共感できる部分がありました。ただし、全体的には議論が散漫な印象を拭えません。核となるテーマがやや曖昧で、結論へ至る道筋が必ずしも明快ではなかったように感じます。 新書という限られた紙幅での表現の工夫は認められますが、もう少し一つのテーマを深掘りしてもよかったのではないかと思われます。知的刺激を求める読者には物足りなく感じるかもしれません。 決して悪い本ではありませんが、これまで読んできた評判の高い人文書と比べると、どうしても印象が薄くなってしまいます。他の著作と合わせて読むと、より理解が深まるのかもしれませんね。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ