雫の街
新潮社 | 2026/01/28
みんなの感想
家庭裁判所を舞台にした連続短編形式の構成が、実に気持ちよく読めました。調査官・庵原かのんが向き合う一つ一つの案件が、単なるミステリーにとどまらず、人間関係の複雑さや心理の深さを丁寧に描き出しています。 教員という仕事柄、生徒や保護者の隠れた事情や本当の気持ちを知る機会が多いのですが、この小説を読んでいると改めて「人の心の内は本当に見えないものだ」と感じさせられます。表面に見える問題の背後にある、切実で切ない理由たちが次々と明かされていく過程は、とても人間らしくて好きです。 庵原という主人公のキャラクターも素晴らしい。プロフェッショナルながら、相談者たちの気持ちに寄り添う姿勢が自然で、読んでいて信頼感が持てます。短編集ながら、各編がしっかり着地しているので、どの話から読んでもぐいぐい引き込まれます。前作同様、後味のいい話と考えさせられる話のバランスも絶妙。週末に少しずつ読み進める、そんな楽しみ方ができる一冊です。
仕事の帰りの電車で一気読みしてしまいました。家裁調査官という、普段あまり知る機会がない職業を舞台にしたミステリーなんですが、本当に引き込まれます。 登場人物たちが抱える秘密や葛藤が、調査を通じてじわじわと明かされていく過程がたまりません。「みんな、嘘をつきますから」というキャッチフレーズの通り、一見単純に見える事件も、深掘りしていくと複雑な人間関係や隠された本音が見えてくるんですよ。それがすごくリアルというか、実生活でもこういうことあるんだろうなって感じさせられます。 庵原かのんというキャラクターも好きです。見た目は地味で目立たないのに、洞察力が鋭くて、人の心情を掴むのが上手い。そういう地道な調査の積み重ねで真実に辿り着く感じが気持ちいいです。 短編集的な構成になってるから、忙しい日常の中でも読みやすいのもいいところ。重いテーマを扱ってるはずなのに、ほろ苦さと微かな希望が程よくバランスしてて、読み終わった後に変な達成感があります。シリーズ第二弾ということなので、次も絶対読みます。
「雫の街」を読み終わりました。家庭裁判所の調査官が扱う事件を通じて、人間関係の複雑さを丁寧に描いた作品ですね。 シリーズ第二弾ということで、最初は躊躇しましたが、思い切って読んでみて正解でした。庵原かのんというキャラクターが実に魅力的で、調査官としての冷徹さと人間らしい温かみのバランスが素晴らしい。記憶喪失の事件や行方不明者の話など、一見バラバラに見える案件が物語の中で少しずつつながっていく構成も巧みです。 人生経験が豊かな年代だからこそ、登場人物たちの嘘や秘密、その背後にある事情が他人事とは思えません。終わり方も含めて、後味が悪くなく、むしろ人間への理解が深まるような仕上がりになっていました。文庫本というのも気軽に持ち歩けて良いですね。 慎重に本を選ぶ方には是非お勧めしたい一冊です。
家庭裁判所という舞台設定に惹かれて手に取りました。日常生活でも人間関係って複雑だなと感じることが多いのですが、この本は家事事件を通じて、人々の隠された本心や葛藤をこれ以上なく丁寧に描いています。 主人公の庵原かのんという調査官のキャラクターが本当に魅力的です。冷徹で頭が切れるようでいて、実は相手の気持ちに寄り添おうとする姿勢が随所に表れていて、何度も共感させられました。離婚や相続といった誰もが関わる可能性のある身近なテーマだからこそ、ページをめくる手が止まりません。 各エピソードが独立しながらも全体として一つの物語へ収束していく構成も見事で、ミステリー的な面白さもあります。記憶喪失の男の正体や、一見単純な案件の奥に隠された真実——こうした要素が次々と明かされていく快感がたまりません。 人間は誰もが何かを隠しているという前提で始まる物語だからこそ、終盤の「ほろ苦い真実」が心に響きます。シリーズ第二弾ということですが、これから第一弾も読み返したくなりました。