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道尾 秀介

出版社:集英社 出版年月日:2025/11/26

集英社 | 2025/11/26

4.00
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

道尾秀介の『N』が衝撃的だったので、本作も期待して手に取りました。結果、期待を上回る仕上がりでした。 二つの章を読む順番で結末が変わるというコンセプトは、正直なところ最初は懐疑的でした。しかし実際に読み進めると、それぞれの章が独立した完成度の高い物語になっており、単なる仕掛けではなく、物語全体の意味を深める緻密な構成だったのです。 ホームレスと元刑事の関係を描く「ゲオスミン」、殺人事件の生き残りの秘密を追う「ペトリコール」――どちらから読み始めるかで、二つの物語がどう交差し、どう相互作用するのかが変わる。仕事の合間に少しずつ読み進める私のような読者にとっては、読了後に別の順番で再度読みたくなる魅力がありました。 慎重に本を選ぶ私だからこそ言えますが、これは単なる新機軸ではなく、読み手の選択を物語に組み込んだ、考え抜かれた傑作です。二度読む価値は十分あります。

感想

道尾秀介の新作『I』は、本の読み方そのものに挑戦する仕掛けに惹かれて手に取った。エンジニアの端くれとして、構造設計への興味もあったし、何より「一冊の本の概念を壊す」というフレーズが気になって仕方なかった。 実際に読んでみると、その面白さは予想を上回った。二つの章「ゲオスミン」と「ペトリコール」は、どちらから読むかで物語全体の印象がガラッと変わる。僕は最初Aの順で読み進めたんだけど、読了後に「もう一度違う順で読んでみようかな」という欲求が自然と湧いた。これって実はすごく計算されている。 各章の主人公たちが抱える秘密や葛藤の描き方が丁寧で、一見するとミステリータッチながらも心理描写の深さが光る。データベースのように積み重ねられる情報が、読む順序によって別の意味を帯びる経験は、電子書籍ではなく紙の本だからこそ感じられる特別感がある。 完璧とは言えない部分もあるけれど、こういう遊び心のある仕掛けは好きだ。もう一度別の順序で読むのが楽しみ。

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