映画ノベライズ かくかくしかじか

映画ノベライズ かくかくしかじか

せひら あやみ / 東村 アキコ / 伊達さん

出版社:集英社 出版年月日:2025/04/25

集英社 | 2025/04/25

4.00
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

医療の現場で毎日人間関係に揉まれているからか、こういった「師弟の物語」には深く惹かれてしまいます。この作品も映画を観た後に小説版を手に取ったのですが、正解でした。 原作漫画の実話ベースの設定が活かされて、明子と日高先生の関係性が本当に丁寧に描かれています。映画では表現しきれない内面の揺らぎや、時間をかけて育まれていく信頼関係が、小説だからこそ伝わってくる。読んでいて、自分の人生を振り返ることもありました。 特に印象的だったのは、夢を追うことの厳しさと大切さが決して説教的でなく、自然に物語に織り込まれているところ。医療の仕事をしていると、患者さんたちの人生観に触れる機会が多いのですが、この本も同じような「人生の重み」を感じさせます。 9年間という時間軸も効いていて、完成度の高い一冊です。気軽に読める文庫本ながら、読み終わった後にはしみじみとした充足感が残りました。同じ立場の先生たちにも読んでほしい作品です。

感想

最近、映画化作品のノベライズ本が話題になっているというので、この『かくかくしかじか』を手に取ってみました。東村アキコ先生の名作漫画が原作だということで、期待を持って読み始めたのですが、率直に言って可もなく不可もなく、といったところですね。 漫画家志望の少女と厳しい絵画教師の出会いという、人情味のあるストーリーは悪くありません。実話をベースにしているということで、登場人物たちの心情がリアルに描かれているという点は評価できます。映画を小説化した作品ということで、映像的な表現を言葉で再現しようとする試みも感じられます。 ただ、私がこれまで読んできた漫画のノベライズと比べると、何か物足りない印象が残りました。映画という制限された時間の中での物語が、文字化されることで、かえって平坦に感じられてしまったのかもしれません。原作漫画の魅力を知っている読者には、特に新しい発見が少ないように思いますし、映画未見の方でも、この文庫本だけで完全に満足できるかは疑問です。 自営業生活も長いので、いろいろな本を読んできましたが、このような中庸な作品もあるということでしょう。全く無駄ではありませんでしたが、今後の選書では、もう一度検討したいという印象です。

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