おちくぼ姫
KADOKAWA | 1990/04/27
みんなの感想
古典を現代的にアレンジした作品は往々にして失敗するものだが、この『おちくぼ姫』は見事にそれを成し遂げている。千年前の日本で成立した物語を、シンデレラのような普遍的な構造として再解釈し、エンタメ性を損なわずに読ませる手腕は正直なところ驚きだった。 エンジニアという職業柄、物事を筋道立てて理解したい性分なのだが、このストーリーの設計には感心させられた。逆境にある主人公と青年貴公子との関係が、段階を踏んで丁寧に構築されていく様は、実に理に適っている。派手さこそないが、確かな物語の基礎がしっかり組み上げられている感覚だ。 文庫版という手頃なサイズも良かった。通勤時間に気軽に開けるし、引き込まれたら一気読みもできる。古典の教養は欲しいが重厚な解説本は避けたい、という自分のようなタイプには特にお勧めできる。王朝という異世界設定なのに、人間ドラマとしての説得力がある点が最大の魅力だと言えるだろう。
古典文学の現代的な読み直しが流行っているということで手に取った一冊だ。『落窪物語』を現代の感覚で再構成した作品だが、実に巧妙である。千年前の物語とは思えないほど、心理描写が丁寧で生き生きしている。 何より印象的なのは、おちくぼ姫のキャラクター設定だ。虐げられながらも決して心が歪まない、むしろ芯の強さを保つ彼女の存在感が素晴らしい。シンデレラ的な枠組みを借りながらも、日本的な品性や教養という要素が加わることで、単なるおとぎ話を超えた深みが生まれている。 貴公子との関係性も慎ましやかで魅力的だ。身分違いの恋愛という古くからの題材を、平安時代の文化背景の中で丁寧に描くことで、あの時代への理解も深まる。 文庫版という手軽さも良い。会社帰りの通勤電車で読むには絶好だ。久しぶりに日本の古典に向き合う気持ちよさを感じさせてくれた。話題作というのも納得できる一冊である。
SNSで話題になってたから読んでみたんだけど、正直期待と違った。日本版シンデレラっていう設定は面白いし、王朝時代の恋愛ストーリーってすごく惹かれるじゃない。だからこそ残念なんだよ。 登場人物の深掘りが浅い気がして、継母のキャラクターがステレオタイプすぎるというか。意地悪いだけで、その動機とか背景が見えないから、読んでいてイマイチ感情移入できなかった。それに、ストーリー展開もけっこう予測のままで、ひねりが欲しかったな。 古典を現代にアレンジした作品って今流行ってるし、その中でも評判良いのたくさんあるじゃない。比べちゃうと、この作品はちょっと物足りない。設定は最高なのに、もったいない。続きが出てるなら次も読むかな…って感じだけど、今のところこれ1冊だと微妙。もっとキャラの背景を掘り下げてくれたら評価変わると思うんだけど。
SNSで話題になってるのを見かけて、ついつい手に取りました。千年前の日本が舞台のシンデレラストーリーって、なんだか新鮮で気になったんですよね。 実際に読んでみると、古典文学なのに想像してたより全然読みやすい。おちくぼ姫のキャラクターがすごく立ってて、逆境の中でも前向きなところに思わず応援したくなります。継母からのいじめシーンも、現代的な嫌さ加減がちゃんと伝わってくるから、昔の話とは思えないリアリティがありますね。 何より青年貴公子との出会いから恋が深まっていく過程が本当に素敵。王朝時代の古典なのに、恋愛感情の描き方が今読んでも色褪せていない。むしろ昔だからこそ、言葉選びや心理描写に奥行きがあるというか。 新社会人として、仕事でストレス溜まる日々だけど、この本を読むと心がほっこりします。トレンドになってるのも納得の一冊。文庫本だから持ち運びやすいし、通勤時間の楽しみとしても最高です。
文庫本で手軽に読める作品ということで、つい手に取ってしまいました。古典の『落窪物語』を現代的にアレンジした作品だということですね。 シンデレラ的なお話は昔から好きですし、千年も前の日本でこういう物語があったのだと興味深く読み進めました。おちくぼ姫の境遇は本当に大変で、不憫に思いながらページをめくりました。継母の意地悪さもなかなかのもので、こういうキャラクターが出てくると引き込まれるものです。 ただ、正直なところ、全体的には期待していたほどの感動はありませんでした。展開は予想しやすく、盛り上がりも落ち着いた感じという印象です。王朝時代の雰囲気を大事にしているのだと思いますが、もう少し恋愛の部分に熱があってもいいのかなと感じました。 それでも最後まで無理なく読めましたし、古典の世界を現代的に親しみやすくしようという試みは良いと思います。気軽に時間つぶしに読むには丁度良い一冊ですね。