ぼくはねこの管理人2 浪漫荘おもいでダイアリー

ぼくはねこの管理人2 浪漫荘おもいでダイアリー

高橋 由太 / しまざき ジョゼ

出版社:KADOKAWA 出版年月日:2026/02/25

KADOKAWA | 2026/02/25

4.00
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

前作の続編ということで、どんな風に話が展開するのか慎重に確認してから手に取りました。結論として、その判断は正解だったと思います。 古いアパート「浪漫荘」を舞台にした温かい人間ドラマは、相変わらず魅力的です。主人公・門脇暖が漫画家の夢と祖母の思い出の場所を守ることのジレンマに直面する姿が丁寧に描かれており、35歳の自分としても他人事ではない葛藤として読めました。 何より良いのは、猫「ちっちゃいのすけ」の視点を通じた独特の語り部として機能していること。猫らしい無関心さが、人間ドラマの緊張感を適度にほぐし、読み疲れさせません。今回登場する「婚活パーティー」のエピソードも、表面的なコメディではなく、住人たちの人生経験や価値観をさり気なく浮かび上がらせる工夫が感じられます。 会社務めで忙しい日常の中で、このような穏やかで人情味溢れるお話はほっと一息つける良い息抜きになります。シリーズものとしてのバランスも取れており、次巻もきっと手に取ることになるでしょう。

感想

八十になった今、こういった心温まる物語に出会えるのは本当に幸せなことだ。猫を通じた人間ドラマというのは、さすが話題の作品だけあって、よく考えられている。 川越の古い木造アパート「浪漫荘」という舞台設定が実に良い。私も若い頃、同じような下町に住んでいたころを思い出させてくれた。主人公の門脇暖が祖母の思い出を守りながら、新しい住人たちとの関係を築いていく過程が丁寧に描かれている。そしてそれを見守る猫「ちっちゃいのすけ」のキャラクターが絶妙だ。 特に印象的だったのは、登場人物たちの人生経験が深く反映されているところだ。自営業を長くやってきた身として、八木澤豊治さんのような熟年の悩みは他人事ではない。人生後半戦における新しい関係や絆の作り方について、この作品は静かに、しかし力強く語りかけてくるように感じた。 文庫本というのも手に取りやすく、夜の読書に最適だ。人生経験を積んだ世代にこそ、読んでほしい一冊である。

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