かなちゃんの本棚
感想

東野圭吾の作品は管理職という立場上、人間関係の複雑さを描いたものに惹かれるのですが、本作『ドミノ』はまさにそうした期待を見事に満たしてくれました。 一見無関係に思える複数の人物たちが、東京駅というありふれた場所で交わることで、予想外の事態が連鎖していく。その緻密な構成には、業務管理の経験がある私も思わず唸ってしまいました。どの登場人物の視点も等しく重要で、どの視線からも物語が成立してしまう。それは、組織内の様々な立場の人間が同じ出来事を異なる角度から認識するという、現実そのもの。 短編集のような体裁ながら、最後には全てが一つの意味を持つまでに収束していく快感。途中で「これはどう繋がるのか」と何度も疑いながら読む自分がいましたが、その疑問が全て報われるカタルシスは本当に素晴らしい。 慎重に本を選ぶ私だからこそ申し上げますが、迷わずお勧めできる傑作です。人生経験を積んだ大人だからこそ味わえる、深い満足感があります。

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