かなちゃんの本棚
駈け落ちは死体とともに

駈け落ちは死体とともに

赤川 次郎 集英社 1983年6月20日

感想

管理職として日々、深刻な案件や判断ばかりを扱っているため、たまには肩の力を抜いて読める本を探していました。このタイトルを見かけた時、正直なところ、どんな展開になるのか予測がつきませんでしたが、その予測不可能性こそが、この作品の魅力だと気付きました。 駈け落ちという一大決心をした恋人たちが、まさかの死体と遭遇する—という設定だけで、すでに笑ってしまいます。にもかかわらず、それを単なるコメディではなく、青春推理として成立させている作者の手腕は見事です。殺人事件という重い題材をユーモアタッチで描きながらも、二人の関係性や心情の揺らぎが丁寧に書き込まれています。 推理小説としても、エンタメ性としても、どちらの側面から読んでも充分に堪能できます。ページをめくる手が止まりませんでした。仕事のストレスで疲れた頭を、心地よくリセットしてくれる一冊です。慎重に本を選ぶ私ですが、この作品は迷わずお勧めできます。