penの本棚
感想

手に取った時点では、タイトルと表紙だけでは内容の全貌がつかめず、少し迷いながら読み始めた一冊でした。しかし読み進むうちに、その慎重さが吹き飛んでしまいました。 十一人の少女たちの夏の思い出を集めたこの作品は、どのページを開いても懐かしさと切なさが同居しています。バニラアイスの木べら、ビニールプール、おはじき――子どもの頃に誰もが触れたはずの小さな物たちが、こんなにも深く心に刻まれていたのだと気づかされました。 大人になった今だからこそ感じられる、あの時代への向き合い方があります。痛みや戸惑いも含めて、自分たちの内面がどう形成されていったのか。静かに、でも確実に語りかけてくるような筆致に、何度も手を止めて思い出しました。 慎重に本を選ぶ私だからこそ言えるのですが、この本は期待を大きく上回る素晴らしさです。どの章から読んでも、そして全部読み終わった後にも、心の奥底に何かが残ります。大人の女性に、本当にお勧めできる一冊です。

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