莉子の本棚
感想

直木賞受賞作ということで、慎重に選んでから手に取った一冊です。競馬と人間ドラマを絡めた設定は興味深く、装蹄師という職業を丁寧に描く姿勢も好感が持てました。 ただ、正直なところ、途中から物語の方向性が見えづらくなってしまいました。馬の気性の問題、登場人物たちの過去、そして不可解な現象……それぞれのテーマが複雑に絡み合い、どれが最も大切な軸なのか、読み進めても判然としないのです。受賞作だからこそ、もっと骨太で説得力のある構成を期待していただけに、残念でした。 キャラクターの描写も深掘りが足りない気がして、彼らの行動原理に十分に納得できないまま進んでいく場面が多々ありました。文庫本での読みやすさはありますが、この作品の本質を掴むには、もう一度じっくり読む必要があるのかもしれません。面白さの可能性は感じるのですが、今のところ、私の心には響き切りませんでした。

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