莉子の本棚
52ヘルツのクジラたち

52ヘルツのクジラたち

町田そのこ 中央公論新社 2023年5月25日

感想

本屋大賞受賞作ということで、評判を確認してからそっと手に取った一冊です。52ヘルツのクジラという設定が心に残りました。他者に届かない声を持つ生き物の比喩として、孤独な二人の人間関係を描く——その構想の美しさに、最初から引き込まれてしまいました。 貴瑚と少年の出会いと交わりを通じて、搾取されてきた人間、傷つけられてきた人間がいかにして新しい世界を見つけるのか。ボランティアをしている身として、人間関係の複雑さと、時には距離を置くことの大切さを改めて考えさせられました。重いテーマですが、決して暗くはない。むしろ、読み終わった後に静かな希望が胸に残ります。 文庫本のサイズも読みやすく、丁寧な表現の数々を何度も味わいながら読むことができました。人生経験が増してから読むことで、より深い共感が生まれる作品だと感じます。慎重に本を選ぶ方には、ぜひ一度手に取っていただきたい。後悔しない読書体験になると確信しています。

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