読書三昧の本棚
へっぽこ膝栗毛(五)

へっぽこ膝栗毛(五)

稲葉稔 双葉社 2026年3月11日

感想

話題の時代小説シリーズということで、書店でも目立つ場所に平積みされていたこの作品。シリーズ五巻目ということで、正直なところ途中からでも楽しめるか少し心配でしたが、杞憂でした。 新兵衛たちの京到着以降、帰路をめぐる展開が実に秀逸です。旅の目的を果たした後、つい別の道を選びたくなってしまう心情——それはビジネスで人生経験を重ねた私たちにも十分理解できるものでしょう。人生って時にそういう「寄り道」が最も大切な学びになったりするんですよね。 文体は読みやすく、派手なアクションはなくても登場人物たちの人間関係の織りなし方が素晴らしい。縁談云々という世俗的な問題と、旅の中での成長という人間的なテーマが巧みに絡み合っています。庶民的な笑いのセンスも良く、バンコ版で気軽に持ち歩ける気軽さもあって、移動の多い日常にぴったり。 シリーズを継続してフォローしたくなる、そんな一冊です。

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