ななちゃんの本棚
白鳥とコウモリ(下)

白鳥とコウモリ(下)

東野 圭吾 幻冬舎 2024年4月3日

感想

上巻から数ヶ月。ようやく下巻を手にしました。前半の複雑に絡み合う謎をどう収束させるのか、正直なところ少し不安でもあったのですが、その心配は完全に払拭されました。 美令と和真という二人の視点から父の死の真実に迫っていく過程で、単なるミステリーの枠を超えた深い人間関係の描写が素晴らしい。禁断という言葉で暗示される関係性も含め、登場人物たちが背負う複雑な感情が丁寧に紡ぎ出されています。 特に終盤、東京と愛知を舞台に物語が動く中で、健介と達郎という存在の意味が徐々に明かされていく手法には見事なものがありました。まさに「光と影」「昼と夜」という対比が、ただの美辞麗句ではなく、ストーリーの本質に組み込まれていることに気付くと、読む前の評価とは比べものにならないほどの満足感が生まれます。 慎重に作品を選ぶ私だからこそ言えますが、この作品は期待値を大きく上回る傑作です。文庫化されたことで、より多くの人に読まれるべき一冊だと思います。

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