ちーちゃんの本棚
抱擁、あるいはライスには塩を

抱擁、あるいはライスには塩を

江國香織 集英社 2010年11月1日

感想

大正期の洋館を舞台にした家族の物語ということで、どんな世界観が広がっているのか期待して読み始めました。ロシア人の祖母、学校に行かない子どもたち、複雑な家族構成—確かに設定だけ聞くと興味をそそられます。 ただ実際に読んでみると、面白さと退屈さが混在する感じでした。百年という長いスパンで三世代を描いているはずなのに、登場人物たちの心情移動がどうも淡白に感じられて。設定の風変わりさに頼り過ぎているような印象も受けたというか、その複雑さを生かしきれていないもどかしさがあります。 エッセイ的な部分も含まれているからか、叙述に起伏がなくて一気読みとはいきませんでした。でも「誰もが完璧な家族ではない」みたいなメッセージは十分に伝わってくるし、ある程度は楽しめるレベルではあります。独特の空気感が好きな人なら深くハマるかもしれない。私の場合は、もう一歩何か引き込まれる要素が欲しかったな、という感じです。気軽に読むにはちょうどいい本ですが、特に心に残るシーンはありませんでした。

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