本と珈琲の本棚
箱庭の巡礼者たち

箱庭の巡礼者たち

恒川 光太郎 KADOKAWA 2026年2月25日

感想

文庫本のサイズで読み始めたら、思いのほか深い世界観に引き込まれてしまった。少年と吸血鬼が異なる世界を冒険していく設定だけで十分面白いのに、それぞれの物語の断片が織り交ぜられて、最後に一つに繋がっていく構成が実に巧妙だ。 最初は少し複雑かなと思ったが、読み進めるうちにパズルのピースがはまっていく快感を味わえる。時を跳ぶ時計や自我を持つロボットなど、ファンタジーと現代的な要素が不思議と調和している。特に「スズとギンタの銀時計」や「ナチュラロイド」の章は印象的で、人間らしさとは何かを考えさせられた。 息抜きに気軽に読む本というより、じっくり味わう一冊といった感じ。それでいて難しすぎず、嘱託の仕事の休み時間に少しずつ読み進めるのが楽しかった。世界観の豊かさと物語の繋がり方で、一気読みしたくなる魅力がある。文庫本だから持ち運びやすいのも良い。

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