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シリアの家族

シリアの家族

小松 由佳 集英社 2025年11月26日

感想

開高健ノンフィクション賞の受賞作ということで手に取ってみました。正直なところ、シリアという遠い国の話だからどうだろうと思っていたのですが、開いてみたら一気に引き込まれてしまいました。 著者が描く家族の物語は、とにかく人間らしい。政治的な対立や歴史的背景があるのに、そこに登場する人たちは皆、迷い、苦しみ、時には笑う等身大の人間として活き活きと描かれているんです。選考委員の評価の通り、秘密警察だろうが兵士だろうが、みんなどこかで誰かの親であり子どもなんだという当たり前だけど忘れやすい事実が、この本を読むとしみじみと感じられます。 複雑な歴史背景も丁寧に織り交ぜられているので、難しく感じることもなく、むしろシリアという国への理解が自然に深まっていきます。嘱託の身になって時間ができた今だからこそ、こういう奥行きのある物語をじっくり読む良さを改めて実感しました。気軽に読める本ではありませんが、読む価値は十分ある一冊です。

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