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小説 千本桜 四

小説 千本桜 四

黒うさP/WhiteFlame / 一斗まる 角川アスキー総合研究所 2018年8月30日

感想

正直なところ、ライトノベルをここまで丁寧に読むことは稀なのだが、本作は違った。千本桜という楽曲の世界観を小説化した本シリーズ、第4巻は舞台となる帝都桜京での謎解きと人間関係の葛藤が巧みに絡み合っている。 鳴子と未來という二人の女性キャラクターの心理描写が特に秀逸だ。身分や立場という現実的な制約と、抗いがたい感情の揺らぎ。そうした矛盾を抱えた人物造形は、むしろ少年漫画誌よりも心理小説的なアプローチになっている。単なるキャラクター萌え狙いではなく、感情の複雑性を丁寧に追っているのだ。 また、鹿鳴館での夜会というシーン設定の豪華さと緊張感のバランスも良い。視覚的な美しさと、そこで繰り広げられる陰謀や戦いとの対比がなかなか効果的だ。一斗まるのイラストが秀逸というのもあるが、文章だけでもその世界観の奥行きが伝わってくる。 シリーズものの中盤ということで、謎の提示と回収のテンポも計算されている。次巻への期待を残しつつ、この巻での満足度も高い。人文書が中心の読書生活でも、こういう良質なファンタジーは触れる価値がある。

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