化学者のための数学十講

化学者のための数学十講

大岩正芳

出版社:化学同人 出版年月日:1979/03/01

化学同人 | 1979/03/01

3.50
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

ボランティアの傍ら、様々な分野の本を読んでいますが、この『化学者のための数学十講』は本当に素晴らしい一冊です。 化学を学ぶ上で数学がいかに重要かは理解していても、多くの教科書は説明が冷たく感じられてしまいます。ところがこの本は違う。著者の化学への深い愛情と、教育者としての誠実さが随所に伝わってきます。複雑な数学の概念を、化学という具体的な文脈の中でほぐしていく手法は見事です。 特に印象的だったのは、各章が有機的につながっていることです。前の章で学んだ知識が次の章で生きてくる、そうした構成上の工夫が、読む者の理解を自然に深めていきます。定年後に化学をより深く学び直そうと考えている高齢者にとっても、決して敷居の高い本ではありません。むしろ、人生経験を積んだ大人だからこそ腑に落ちる説明が満載です。 長年、多くの学術書に触れてきた経験から申し上げますが、この本は確実に名著の仲間入りをしていると確信しています。化学の学習者だけでなく、数学と自然科学の関係を考えたい方全てにお勧めできます。

感想

化学の実務に必要な数学を体系的に学べるという触れ込みだったので、手に取ってみた。確かに対数・微分・統計といった基礎から始まる構成は親切だし、化学分野への応用例も多く掲載されている。 ただし残念ながら、本書は「入門書としても参考書としても中途半端」という印象は拭えない。説明が簡潔すぎて、初学者が躓きやすいポイントでの補足が不足している一方で、すでに基礎知識がある読者にとっては物足りない。演習問題の解答がないのも使い辛い。 フリーランスとして様々な専門書に触れてきたが、このレベルの内容であれば、むしろ分野別の専門書か、より充実した汎用数学書を組み合わせる方が効率的だろう。化学者向けという限定的なアプローチが、かえって汎用性を失わせているように感じた。完成度の高い入門書を期待していただけに、少し期待を下回られた一冊である。

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