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小公女(下)

小公女(下)

フランシス・エリザ・バーネット / 谷村満知子 偕成社 1985年8月1日

フランセス・ホジソン・バーネットの名作、『小公女』の下巻を読了した。少女文学の古典として高く評価される作品だけあり、前巻で築かれた物語の基盤の上に、主人公セーラの人生がどう転機を迎えるか、その描写は確かに丁寧である。 ただし、正直なところ、現代の読者である自分にとっては、全体的に予定調和の域を出ない印象は拭えない。19世紀の作品ということを差し引いても、物語の展開やセーラの成長譚は、さほど意外性に富んでいない。むしろ児童文学としての道徳的メッセージが前面に出すぎているような感覚もある。 その一方で、困窮から救済へと至るストーリー展開の運び、そして各登場人物との関係性の深化については、職人的な仕上がりが感じられる。バーネットの筆力そのものは決して色褪せていない。 古典として歴史的価値を認めつつも、文学作品として現在読むべき必然性があるかと問われれば、微妙な答えになってしまう。一読の価値はあるが、期待値を極度に高めて向かうほどではないというのが、率直な感想である。