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日本経済はなぜ沈下したのか

日本経済はなぜ沈下したのか

伊藤修 朝日新聞出版 2026年8月12日

感想

日本経済の「失われた30年」について、これまで断片的な議論は見かけてきたが、ここまで体系的に整理した本は珍しい。バブル崩壊以降、次々と投じられた政策が功を奏さなかった理由を、単なる結果論ではなく構造的に解析している点が秀逸だ。 特に印象的だったのは、短期的な景気対策と長期的な構造改革がしばしば相反することを、具体的なデータで示している部分。アベノミクスや新自由主義といった大型の政策が、なぜ根本的な解決に至らなかったのか、その本質に切り込んでいる。金融、労働市場、社会保障といった各分野での分析も、表面的ではなく掘り下げられており、単発の評論ではなく「本格的再建論」という帯の謳い文句も伊達ではない。 新書という限られた紙幅の中で、これだけの射程を持つ議論を展開するのは難しいはずなのに、論理の流れが明快で読みやすい。経済に関する基礎知識がある程度あれば、さらに納得度が高まるだろう。フリーランスという立場で日本経済の先行きを考える自分にとって、非常に示唆に富んだ一冊となった。

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