あるはずのない海(2)

あるはずのない海(2)

伸たまき

出版社:新書館 出版年月日:1997/10/01

新書館 | 1997/10/01

3.50
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

マンガとライトノベルの融合という企画そのものには興味を持ったのだが、正直なところ期待値に達しなかった。 第2巻の時点で、物語の基本設定は十分に提示されているはずだ。しかし、キャラクター造形が相変わらず平坦で、感情移入の余地が乏しい。ライトノベル原作ということもあってか、登場人物たちの言動に深みが感じられず、ストーリーも予定調和的に進んでいくだけという印象を拭えない。 マンガという視覚的表現力をもっと活かした表現があってもいいのではないか。テキストに依存しすぎているのか、画面の使い方も工夫が足りないように感じた。 読書家として多くの作品に接してきた経験からすると、この種の作品は企画の面白さだけでは続きにくい。やはり物語の質感と、それを表現する媒体との相乗効果が不可欠だ。次巻に期待したいところではあるが、現段階では手放しで推奨することは難しい。

感想

通常、マンガというジャンルは自分の読書の優先順位では後回しになりがちだったのだが、この作品は随分と異なる体験をもたらしてくれた。ライトノベル原作のマンガ化ということで当初は心構えをしていなかったものの、蓋を開けてみると実に丁寧な世界観の構築と、思想的な深みが込められていることに驚かされた。 「あるはずのない海」の二巻は、第一巻で提示された謎と矛盾がさらに層を重ねていく段階で、物語の本質に触れ始めるだイラストの美しさと相まって、抽象的な概念を視覚的に理解させる力が秀逸である。自営業を営む者として、現実と非現実の境界について考察することの重要性を改めて認識させられた。 執筆者の想像力の質の高さが随所に感じられ、単なるエンタメ作品の枠を超えた思索的な面白さがある。この年代で新たな表現形式の可能性に目を開かされるのは、読書家としてこの上ない喜びである。続きが待ち遠しい。

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