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グノーシスと古代宇宙論

グノーシスと古代宇宙論

柴田有 勁草書房 1982年1月1日

感想

グノーシス主義という古代の宗教思想が、どのような宇宙観を持っていたのか――その根本的な問いに真摯に向き合った力作である。 勁草書房の学術的な編集姿勢が随所に活きており、原典への丁寧なアプローチと最新の研究知見が綿密に統合されている。グノーシスの二元論的な世界観が、単なる宗教的教義ではなく、当時の哲学や科学思想と深く結びついていたことが、この本を読むと初めて明確に見えてくる。 特に印象深いのは、物質と精神の対立という古代の根本的な問題設定が、現代における様々な思想課題とも連動しているという視点だ。翻訳や説明も難解なテーマながら極めて明確で、専門家による確かな筆致が感じられる。 人文思想書としての完成度が高く、古代宗教史に関心を持つ者にとってはもちろん、より広く西洋思想の基層を理解したいすべての読書家に推奨できる一冊。長年多くの本を読み漁ってきた身としても、こうした本との出会いが読書の醍醐味を改めて教えてくれる。

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