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銀色のマーメイド

銀色のマーメイド

古内一絵 中央公論新社 2018年9月21日

感想

「さよならの夜食カフェ」の前に こちらを読むといいと聞いたので読んでみた 自分のことにしか興味がなかった龍一 しかし主将で幼なじみのタケルが いなくなったことで退部者も相次ぎ 水泳部は廃部寸前。 残ったのは「プール好き」のアニオタ& 水中歩行要員のみ。 部の存続のため部員集めに奔走する龍一は 市民プールで水中を滑降するように 泳ぐ“人魚”を見つけた。 それは同じクラスの謎めいた美少女・雪村襟香だった。 この水泳部の顧問が出てくるんだけれど 柳田ぁぁ?? あの柳田だよね、とニヤつきながら読みました トランスジェンダーを大きなテーマと しつつ、中学生たちの水泳部という 部活を通しての青春小説としても描かれていて 集まってきた部員たちがまた個性的なんですよ。 アフリカからの留学生の子が出てくるんだけど もうね、覚えてます?  シドニーオリンピックだったかで 生まれてはじめて100メートルを 泳いだアフリカの選手がいたのを。 50メートルでターンしてからの先が長い ダントツでビリ でも会場中から応援する拍手が上がる 世界一有名な敗者って呼ばれてた気がする あの選手を思い出すような活躍を 見せるわけです。 地区大会に向けての水泳部の奮闘や 新たな仲間たちの成長など多様な要素が 組み合わさっているのも魅力 でもやっぱりシャールさんが 登場したあたりからぐんと面白くなる すごいな、なんだか急に勢いと 厚みが出てきたな。 ジェンダー問題だけじゃなく 貧困であるとか体型的なことだとか 誰でもそれぞれに抱えている問題があって だれもが皆折り合いをつけながら生きている 自分だけじゃない みんな必死で生きてるっていうね。 それにしても濃い。 なんて濃い中学校時代なんだ。 性自認についてはトイレ問題とか スポーツの男女差の問題など 今も考えていかなければいけないことが あるし、ちょっとそれはどうなの? と思うことも多いんだけれど 想像力って大事だよなと感じている。 金八の頃から20年 それでもこの小説の中に出てくる個性的な 部員たちは男性でありたいと願う同級生を あっさりと認めることができる 時代は流れているのかこの生徒たち 空気を読めない人たちだからなのか。 ありのままで生きられる世界は 優しさで作られるのか。 いつの時代も青春は眩しいものだわ。 そしてどこかほろ苦い。

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