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スーツケースの半分は

スーツケースの半分は

近藤史恵 祥伝社 2015年10月8日

感想

三十歳を目前にした真美、花恵、ゆり香、悠子は大学からの友人だ。 フリーマーケットで一目ぼれした青いスーツケースを買った真美 心配性な夫の反対を押し切りあこがれのニューヨークへの ひとり旅を決意する。 海外旅行などしたことのない真美が初めてのひとり旅を決めた。 出発前には夫とのささいな言い争いの中で過去の辛い記憶が 蘇り不安になったりもするがスーツケースから出てきた一枚の 紙に書かれた 「あなたの旅に幸多かれ」という言葉に背中を押されニューヨークへ 旅立った。 青いスーツケースはその後、友人たちの間を次々と渡り歩き それぞれの人生に幸せをつないでいく 実家暮らしの花恵は香港に三泊四日豪華なホテルに泊まる旅に出る。 バックパッカーのゆり香は快適とは言えないが訪れた国に溶け込む旅をする。 今回は彼氏とアブダビへ。 ライターの澤悠子は取材を兼ねた旅行でパリへ。 束の間、人から大切に扱ってもらうことでまた頑張れる。 日常に戻っても戦える。 飾りのようなパーティバッグではなく酷使されボロボロになった スーツケースの方がいろんな風景が見えて余程自分らしい人生が 送れるだろう。 四人それぞれの物語が少しずつリンクしながら短編が繋がれていき スーツケースは元の持ち主の姪のところへ戻ってくる。 その姪もまたそのスーツケースを持って海外へ留学するのだ。 たくさんの希望や夢が繋がっていく。 最後にこのスーツケースが持ち主のところにやってきたいきさつも わかり短編が上手くつながった感がしてとてもスッキリとする読後感。 そして旅に出たくなる。 どこか知らない街を旅してみたくなる。 だからといってなかなかそういうわけにもいかないが 真美が空港で隣り合わせたマダムが言っていたように 花が欲しい時は花を買い、コーヒーが飲みたいときはコーヒーを飲む。 そして一人で自分のいきたいところには行ける自分になる。 私もこういう望みは出来るだけ叶えたいと思っている。 大人になることって自由が広がることでもある筈だから。 温かいぬくもりと女性たちへのエールを感じる物語だった。

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