孫が電気工事の資格取得を目指しているというので、試験対策の様子をこの本で少し学んでみようと思いました。 過去10年分914問が網羅されているという触れ込みで、試験対策の教材としては相当な充実度だと感じます。ただ、私のような技術とは無縁の人間が読むと、正直なところ内容を十分に理解することは難しいですね。解説も専門的で、背景知識がないと読み進めるのに工夫が必要です。 編集方針は理にかなっており、年度別の整理は学習の進め方として実用的だと思われます。ただし、あくまで過去問の焼き直しに解説を付けたという形式なので、構成面での創意工夫には欠ける印象を受けました。 受験生にとっては必要十分な参考書なのでしょうが、このジャンルの本に期待される「わかりやすさ」「工夫」という点では、もう一段階の工夫があってもよかったのではないかと感じます。専門分野の教材として、及第点といったところでしょうか。
最近登録された他の本の感想
2026年08月04日
孫の算数学習について相談を受けたので、このドリルを手に取ってみました。 小学校の学習指導に携わる教室が開発したとのことで、期待を持って見ていたのですが、正直なところ特別に優れているわけではないという印象です。ナンバー・マトリックスというパズル形式は確かに子どもの注意力を引き出せるでしょう。問題も工夫されており、単調な計算練習とは異なります。 ただし、「天才ドリル」という謳い文句の割には、その名称ほどの革新性は感じられません。発想力と集中力が身につくという触れ込みですが、これらの効果を実感するには個人差が大きいでしょう。親御さんの期待値によっては、物足りなく感じるかもしれません。 とはいえ、退屈せずに続けられる工夫はあり、つまらない教材ではないのも事実です。同じような学習教材と比較しても、決して劣っているわけではありません。お子さんが楽しんで取り組めれば、それで十分な価値があると思います。
2026年08月04日
娘がすすめてくれたので、この作品を読んでみました。「魔道祖師」の作者による作品ということで、評判の高さも聞いていたのですが、正直なところ、私のような年配の読者には少し距離を感じてしまいました。 中国発のファンタジーで、登場人物たちの関係性が複雑に絡み合う構成は、確かに丁寧に描かれています。ただ、このシリーズ全体を通して読む必要があるため、第6巻の単独での評価は難しいというのが本音です。特装版ということで豪華なグッズも付いていますが、物語そのものの充実度と比べると、バランスが取れているとは言えません。 完結に至る過程は、ファンの期待に応える形で構成されているのだろうと思いますが、物語の深さや感動という点では、期待していたほどではありませんでした。若い読者には十分に満足できる作品かもしれません。ボランティアの時間を割いて読む価値があるかどうかは、やや疑問が残ります。
2026年07月28日
わらべうたという題材に惹かれて手にした一冊です。子ども時代に歌った数え歌やけんか歌が懐かしく蘇るかと期待していたのですが、残念ながら期待とはやや異なる仕上がりとなっていました。 確かに、遠い日の思い出をたどるきっかけにはなります。「けんかならこい」「おならうた」といった、素朴でいたずら心に満ちた歌詞の数々は、当時の子ども心の自由さを感じさせてくれます。詩人による創作も交えられており、言葉の選び方は丁寧です。 しかし、従来のわらべうたの実態とこの作品がどう異なるのか、また現代の子どもたちへの意義がどこにあるのかが、やや曖昧に感じられました。文献的な背景や系統の整理が十分でなく、単なる抒情的な世界観に浸るだけで終わってしまった印象が否めません。 人間愛に満ちた視点は認めますが、より深い考察や構成上の工夫があれば、この本の価値はぐんと高まったように思います。わらべうた好きな方には手軽な読み物として機能するでしょうが、知的好奇心を満たす一冊とはいきませんでした。
2026年07月24日
孫がITパスポート試験を受けるというので、一度どのような試験対策本があるのか見てみようと思い手に取ってみました。 正直なところ、私のような高齢者にとってはITの世界は複雑で難しいものです。しかし、この本は「とことん丁寧な解説」という触れ込みだけあって、図版が多く、基本概念から丁寧に説明されているようです。生成AIなど最新の話題にも対応している点は、時代に合わせた努力が感じられます。 ただし、試験合格のみを目的とした構成とのことで、学習の奥行きという点では少々物足りなさを感じます。知識の本質的な理解よりも、出題傾向への対策に重点が置かれているのでしょう。257問の頻出問題が掲載されているのは、実用的で良いと思います。 孫の試験対策本として考えるなら、このシリーズの定評は信頼に値するものだと思われます。ただ、単なる読み物として知的好奇心を満たすような深さを求める私のような読者には、やや物足りません。目的が明確な方には適切な一冊ではないでしょうか。
2026年07月23日
還暦を過ぎてから、ようやく時間をかけて異国を味わう楽しみを知りました。この『フランス紀行』は、そうした私の読書の時間をより豊かなものにしてくれた一冊です。 著者の細やかな観察眼と筆致の美しさに、ページをめくる手が止まりません。フランスの街並みや文化、そこに暮らす人々への向き合い方が実に誠実で、旅行ガイドには決して書かれない深い魅力が伝わってきます。歴史の層が積み重なった街の風景、地域ごとに異なる人間関係の質感まで、著者の目を通すと一つひとつが生き生きと蘇ります。 ボランティア活動を通じて、私も異なる背景を持つ方々との関係の中で「違いを知ること」の大切さを学んできました。この本を読んでいると、フランスという国を知ることは、同時に私たち自身の文化や暮らしについて問い直すことなのだと感じます。知的な充足感と同時に、世界への好奇心を新たにしてくれる、そういう稀有な良書に出会うことができました。
2026年07月17日
長年、様々な思想書を読んできましたが、この本は本当に素晴らしい一冊です。孔子という歴史的人物が、どのようなプロセスを経て聖人へと神聖化されていったのか、その軌跡を丁寧に解き明かしています。 生前は理想の政治を実現できず失意のうちに亡くなった一思想家が、なぜ世界三大聖人の一人となり得たのか——この問い自体が非常に興味深いものです。著者は時代ごとの重要な人物とその著作に焦点を当てながら、孔子思想が中国社会の宗教・倫理として浸透していくプロセスを明解に説いています。 新書という限られた紙幅の中で、複雑な思想史を整理し、読者に理解させる手腕は見事です。構成も分かりやすく、各章が段階的に孔子の神聖化の謎に迫っていく構造になっており、最後まで引き込まれました。 人文思想に関心のある方はもちろんのこと、歴史や文化の深い学びを求める誰もが、価値のある読書体験を得られると確信します。ボランティアの傍ら、こうした良書に出会えることの喜びをあらためて感じています。
2026年07月15日
ファンタジーはあまり読まない方なのですが、評判の高さに惹かれて手に取ってみました。350万部を超えるベストセラーということでしたから、何か特別な魅力があるのだろうと期待していたのです。 読んでみると、確かに物語の構成はしっかりしており、王国の内乱や王の出自にまつわる秘密など、引き込まれる要素は十分にあります。町田そのこさんの解説も丁寧で、作品への理解が深まりました。 ただ、正直なところ、私の世代には少し難しい部分も感じました。次々と登場する人物関係を把握するのに時間がかかりましたし、ファンタジー特有の世界観に完全に没入することができませんでした。物語そのものは悪くないのですが、本書が多くの読者に愛される理由を完全には理解できないままです。 若い世代の読者にとっては、きっと非常に面白い作品なのだと思います。人によって合う合わないが分かれる本なのかもしれません。新装版という形で多くの人に届いている点は評価したいところです。
2026年07月01日
最近のボランティア活動を通じて、人と人のつながりの大切さをより実感するようになりました。そんな折に出会ったこの本は、その感覚をより深い科学的視点から教えてくれました。 「わたし」という存在がいかに多くの生命体の共存によって成り立っているのか。腸内細菌から細胞内小器官まで、私たちの身体は実は無数の「他者」で満たされているという指摘には、本当に驚かされました。これまで「個体」として認識していた自分が、実は複合体だったなんて。 著者の説明は丁寧で、複雑な生命観を分かりやすく導いてくれます。新書という限られた紙幅の中でも、最新の研究知見がしっかり盛り込まれており、知的な充実感が得られました。 何より心に残ったのは、この視点が根本的に「独りでは生きられない」という謙虚さをもたらしてくれることです。年を重ねるほどに、人も自然も全てがつながっているんだという感覚が大切だと感じます。知的好奇心を刺激しながらも、温かみのある一冊です。
2026年06月22日
昔ながらの下町の路地で遊ぶ子どもたちの声、晩ごはんのにおい—こうした情景描写から始まるこの本は、読んでいて自分の少女時代の思い出がよみがえってきました。戦前・戦中という時代背景がありながらも、家族の絆と地域の人情に支えられた子ども時代の輝きが、とても丁寧に描かれています。 かよ子という主人公が、戦争という悲しみの中でも心に輝きを保ち続ける姿は、現代を生きる私たちにも大切な教えをくれます。何度か読み返すたびに、異なる視点で新しい発見があるのも魅力です。新書というコンパクトな形式ながら、深い人間ドラマが凝縮されており、よくまとめられていると感心しました。 孫や地域の子どもたちにも薦めたい一冊です。小学校高学年から中学生向けとありますが、大人が読んでも十分に心に響くものがあります。懐かしさと人情、そして希望の光が感じられる素敵な作品だと思います。
2026年06月11日
直木賞受賞作ということで、期待を持って手に取りました。大人の恋愛を描いた短編集とのことでしたが、正直なところ、私の心には響きませんでした。 確かに、異なる視点から同じ場面を描く手法は興味深いのですが、登場人物たちの心情があまりに自分勝手に感じられてしまいました。婚約者がいながら浮気に溺れる、既婚者と関係を持つ…こうした設定自体は文学的に描くことは可能ですが、本書ではどうしても共感しきれない。 何十年もの人生経験を積んできた私からすると、大人だからこそ守るべき信義や責任というものがあると考えます。そうした視点から見ると、この作品集は「不倫の甘美さ」に浸ることが主眼になっているようにも感じられました。 表現技法や構成の工夫は認めますが、人生の重みや他者への思いやりを考える読書をしたい身としては、やはり物足りなさが残りました。直木賞受賞作だからこそ、より深い人間的な問題提起を期待していたのです。
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