みつこの本棚
感想

わらべうたという題材に惹かれて手にした一冊です。子ども時代に歌った数え歌やけんか歌が懐かしく蘇るかと期待していたのですが、残念ながら期待とはやや異なる仕上がりとなっていました。 確かに、遠い日の思い出をたどるきっかけにはなります。「けんかならこい」「おならうた」といった、素朴でいたずら心に満ちた歌詞の数々は、当時の子ども心の自由さを感じさせてくれます。詩人による創作も交えられており、言葉の選び方は丁寧です。 しかし、従来のわらべうたの実態とこの作品がどう異なるのか、また現代の子どもたちへの意義がどこにあるのかが、やや曖昧に感じられました。文献的な背景や系統の整理が十分でなく、単なる抒情的な世界観に浸るだけで終わってしまった印象が否めません。 人間愛に満ちた視点は認めますが、より深い考察や構成上の工夫があれば、この本の価値はぐんと高まったように思います。わらべうた好きな方には手軽な読み物として機能するでしょうが、知的好奇心を満たす一冊とはいきませんでした。

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