裕子の本棚
感想

新聞の書評欄で何度も見かけたので、思い切って手に取ってみました。74年生きていると、ミステリー小説も新しい傾向のものは敬遠しがちになってしまうのですが、これは違いました。 爆弾という危険な題材を扱いながらも、警察の捜査と犯人の心理が緻密に描かれていて、ぐいぐい引き込まれます。主人公の警察官たちが必死で正義を求める姿勢に、私たちの世代も共感できる部分がたくさんありました。 ただ正直なところ、後半は複雑な展開が続きますので、老眼鏡をかけ直しながら何度か読み返す場面もありました。それでもなお、作者が問いかけてくる「正義とは何か」という根本的なテーマは、人生経験を積んだ今だからこそ、より深く心に響きました。 直木賞候補作というのも納得です。若い世代にはもちろんのこと、私たちのような世代の読者にも十分に楽しめる、質の高いミステリーだと思います。もう少し装丁が大きければ、もっと読みやすかったのにとは思いますが。

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